5周の部 優勝
「作戦どおり」の冷静なアタックで約30kmを制覇
濱野克悠選手(バルバサイクルレーシングチーム)
フルコースを5周回、総距離29.0kmとやや長めの距離を走るこのレース。スピードはもちろんのこと、最後までバテないためのペース配分も重要です。表彰台でのインタビューでは、ゴールしたときの気持ちを「やっと終わった、という感じ」と話した濱野選手。その自転車歴は14年ほどで、シマノ鈴鹿ロードにも毎年参加しているそうです。今年も練習をしっかり積んできたという自信から「作戦どおりに走ることができました」とレースを振り返りました。
「残りが1周か2周になったところで飛び出そうと決めていました。2位になった小林政徳選手とうまく協力して走れたことも、勝利につながったと思います」
今大会ではほかにも3周の部とシマノ鈴鹿ロードレース クラシックにもエントリーされており、取材時には「どちらも入賞を目指したい」と抱負を語りました。その後行われたシマノ鈴鹿ロードレース クラシックでは惜しくも目標に届きませんでしたが、3周の部では見事10位でゴールし、入賞を果たしました。
1時間サイクルマラソン 女子 優勝
丁寧な身体のケアとライバルとの切磋琢磨でつかんだ優勝
辻之内真理選手(EURO-WORKS Racing)
激戦を制した辻之内選手に勝因を尋ねると、2位になった楠本鮎美選手の存在が大きいと答えてくれました。
「1位を狙えるんじゃないかと思っていましたが、楠本さんはレースでよく会うよきライバル。今日もお互い気にしながら走っていたと思います」
辻之内選手が決めていたのは、先を走る男性集団についていくこと、ちぎれるときは「最後にちぎれる女子選手」になること。それでもいつ楠本選手が視界に入ってくるかと周囲を見ながら走り、「彼女が現れたときには『きたーー!』と思いました(笑)」とのこと。ユーモアたっぷりに喜びを語りました。
この優勝を機に、JCF登録を考えているという辻之内選手。実はスポーツマッサージのプロでもあり、チームメイトのサポートはもちろん、自身のレース前後のケアも欠かしません。
「自転車に乗る人は機材にお金をかけがちですが、長く楽しむためには自分の身体にもお金をかけてあげてほしい」と全ライダーにメッセージを送りました。
小学5-6年 男子 優勝
競輪選手を目指して激走を続ける小学6年生に注目!
佐野将麻選手(ZERO BIKE FACTORY)
フルコース5.8kmを1周するこのレース。大人顔負けの激走を見せた6年生の佐野選手は、昨年の同種目3位から念願の1位へジャンプアップしました。レース後のインタビューにも「練習をがんばってきたので勝てると思っていた」と力強く答えました。
1歳10カ月のときにランバイクに乗って以来、近年めきめきと頭角を現している同選手は、自転車ファミリー「佐野三兄弟」の一員。中学2年生の兄と小学3年生の妹もシマノ鈴鹿ロードでそれぞれ優秀な成績を収めており、3人そろってトライアスロンにも取り組んでいるのだとか。兄弟で一緒に練習することでモチベーションも保てているようです。トライアスロンでは、佐野選手は苦手なスイムを得意のバイクとランでカバーしており、現在すでに全国大会を連覇中。シマノ鈴鹿ロードの翌々週に迫った今年の大会でも、もちろん1位を目指すとのこと。
「夢は競輪選手」ときっぱり語る佐野選手、この先も要チェックです。
2周の部 優勝
自転車歴38年、「勝っちゃった」と笑顔で貫録の優勝
前田義範選手(TRAP)
フルコース2周回、11.6kmを走る2周の部で優勝を飾ったのは、自転車歴38年というキャリアを持つ前田選手。自転車との出合いは高校生のときで、もともとはランドナーに乗っていたそうです。アウトドア遊びの一環として自転車を楽しんでいたところ、「レースっていう楽しみ方もあるよ」と、友人がロードバイクを2万円で売ってくれたのだとか。以来、マイペースでのレースも楽しみつつ、チームでのロングライドをメインに走り続けているそうです。
トレーニング方法について聞くと「チームの先頭を引いて200kmぐらい走っていることが、結果的に練習になっていると思います。若い人に頑張ってほしいと思っているし、今日も優勝を狙う気は全然なかったんですよ」と笑いました。
とはいえスプリントも好きなので全力で走っていたところ、気づけばトップでフィニッシュ。「あ、勝っちゃった」
今後の目標は「現状維持」。お手本にしたくなるような自然体の楽しみ方でした。
チームタイムトライアル レディース 優勝
公開プロポーズの「ラブパワー」でチームにも追い風
バルバレーシングクラブエチゼン 髙橋由佳選手 野添晴菜選手 谷江史帆選手
大会初日、チームタイムトライアル レディースの表彰式で嬉しいサプライズがありました。同レースを制したチームの野添選手が、チームメイトでもある恋人をステージ上に呼び寄せ、観衆の前で逆プロポーズ! おもちゃの指輪を「私にはめてください」と彼に告げる野添選手に、お相手からは「結婚しましょうか」の言葉が。このサプライズを知っていたのは、一緒に走った高橋選手と谷江選手のみ。「勝てたらプロポーズと決めていたので、レース前からガチガチでした」(野添選手)
高橋選手も「優勝してプロポーズなんて、誰にでもできることじゃない。絶対に成功させたかったので、私たちも『勝たせなきゃ!』というプレッシャーがありました」と笑います。
そして2日目にもさらにドラマが。前日に婚約した野添選手が、シマノ鈴鹿ロードレース クラシック 女子エリートで冒頭から勢いよく飛び出してレースをけん引。この間にしっかり足を貯めた高橋選手が得意のスプリント勝負に持ち込み、チームタイムトライアルに続いてこのレースも制しました。表彰台でのシャンパンファイトを終えた同選手に話を聞くと「去年からシャンパンファイトのイメトレをしてきました」とにっこり。
「ゾエ(野添選手)とはとくに打ち合わせなどはしませんでしたが、彼女がラブパワーで飛ばしてくれたのを見て、私もいけると確信しました。平坦基調で距離の短いこのレースは自分の得意分野でもありますが、ここまで来られたのは本当にチームのみんなのおかげです」
勝利がひときわめでたいものになった同チーム。末永くお幸せに!
5ステージ・スズカ 個人総合時間ジュニア賞 優勝
今大会からジュニア賞にもリーダージャージが
井上拓海選手(ぴっとレーシングチーム)
2日間にわたる5ステージ・スズカの締めくくりとなる総合時間賞の表彰式。個人総合時間順位の中で18歳以下の1位の選手には「個人総合時間ジュニア賞」が与えられますが、今年からそのジュニア賞にもリーダージャージを贈ることになりました。
栄えある「初代・個人総合時間ジュニア賞リーダージャージ」を受け取った井上選手は、第1ステージ以外すべてのレースでジャージを着たという強者。しかしその姿勢はあくまでも謙虚で、「勝てたのはチームのおかげ」と繰り返します。
「チームのみんなが『絶対にジャージを獲れ』と言って協力してくれました。最後の上りはつらかったけれど、アタックの仕合いは楽しかった。前の選手を逃がしちゃいけないと思って全力で踏みました」
周囲から「ぶっちぎりだったね」「来年も楽しみにしてるよ」といった称賛を受けるも「いやいや」「まだまだです」と謙遜する井上選手。大学でも競技を続けるそうで、引き続き目標を立てて頑張りたいとのことでした。