ウィーラースクール
プロ選手たちが講師で参加。レースに向けた実践的な練習を楽しみながら学ぶ
パドックに特設したエリアで、今回もウィーラースクールを実施。「ウィーラー」とはベルギーのフラマン語で「サイクリング」を意味します。自転車大国=ベルギーで生まれた子供向けの自転車教育メソッドをベースにしたプログラムを、「シマノ鈴鹿ロード版」にアレンジして行いました。
初日には子供向けが3回、大人向けが1回、2日目には子供向け2回、大人向け1回を実施、各回多くの参加者で賑わいました。
スクールには回ごとに異なる現役プロ選手、監督などがサポートに入り、参加者の皆さんと直接会話しながら安全に走るためのコツを伝授。スクール直後にレースに参加する選手のために「スタート前の準備」「自分の実力を確認する」「集団での走り方」をレクチャーしました。子供向けも大人向けもほぼ同じ内容で、まずは空気圧をはじめパーツの緩みがないか、ブレーキは効くかなど、愛車のチェックから。その後はスタートダッシュの練習や、一本橋やスラロームを使ったバランスの取り方など、毎回少しずつ異なる内容で展開されました。
最後には集団で走る練習も実施。並んで走る人数を徐々に増やし、6名で横に並んで走ったり、走りながら声をかけて並ぶ人数を変えたりなど、実際のレースに近い状況で集団走行を疑似体験。
「6人で並んで走るのは正直、怖かったです。明日初めてのレースなので、その前に集団走行の練習ができて良かったです」と、シマノ鈴鹿ロード初チャレンジという女性の方が感想を話してくれました。
知っ得講座
サイクリストの悩みを普段の生活から改善していく貴重な情報を紹介
日頃から食によって運動の質を高めることを提案するサイクルライフナビゲーターの絹代さんと、数々のアスリートを支えてきた管理栄養士の河南こころさん。今年もお二方を講師に招き、それぞれのテーマに沿った”知って得する”情報が聞ける講座を開催。絹代さんのテーマは「疲労回復」。そして、河南さんは「健康のため、ベストパフォーマンのためのウエイトコントロール」がテーマ。各回1時間におよぶ充実の内容の講義を行いました。
[講師:絹代さん]
シマノレーシングの選手も登壇。疲労回復のポイントは?
絹代さんが事前に行なったアンケートで、一番回答が多かったという「疲労回復」が今回のテーマ。レースやトレーニングで蓄積した疲労をいち早く回復するためには、どんな食や行動が有効か、シマノレーシングの選手たちが普段行なっている疲労回復のためのルーティンなどの話を交えて、わかりやすく紹介されました。
一例として、なぜ人が疲れを感じるかを理論立てて解説。絹代さんは、朝から晴天で気温が上昇した当日の会場の様子を考慮し、暑さによる疲労感がかなり強くなることを真っ先に話しました。これを軽減するためには、紫外線を防ぐアイウェアや日焼け止め、出走前にプロ選手たちが着用するアイスベスト、コンビニでも買える冷凍タイプのスポーツ飲料(アイススラリー)などが有効だそうです。シマノレーシングの選手からは「練習やレース後に30分以内に糖質を取っています」「睡眠、マッサージ、筋膜リリースで、体をほぐしています」など、興味深い実例が紹介されました。
[講師:河南こころさん]
食事と運動のバランスを考えたダイエットの実践方法とは?
アイススケート、ラグビー、野球などのプロ選手をはじめ、かつてシマノレーシングの食事を担当したこともある管理栄養士の河南こころさん。今回は、食事と運動のバランスを整え無理なくダイエットする方法を紹介。
食事などで摂取したエネルギーが、運動した際に消費するエネルギーを超えなければ、自然に体重は減るというわかりやすい理論。すぐにでも実践できる方法として、食事と運動のバランスを簡単に計算できる数式が紹介されました。
さらに、肉の種類や部位に含まれる栄養素を知ることで糖質をカットできるとも。バランスの良い栄養を摂りながら食事と運動の量を整えれば、パフォーマンスを落とすことなくウエイトコントロールすることも夢ではありません。
レース初心者講習会
“安全に楽しくゴールする”ことに特化した鈴鹿サーキットの走り方を伝授
初めてレースに出場する人に向けて、心構えや走り方の基本を紹介するレース初心者講習会。講師はツール・ド・フランスの出場経験もある今中大介さんが担当。鈴鹿サーキットのコース写真を使って、どのポイントがなぜ危険であるか、事故を未然に防ぐための考え方・走り方などが紹介されました。
一般の参加者とプロ選手のメンタルの違いや、今中さんが肌で感じた欧州プロの話などを交えた興味深い内容となりました。2日間で計15回の講習を行なった今中さんに感想を聞いてみました。
「ブレーキングの仕方など基本的なことを意外と知らない人が多く、初心者の方が増えたという印象を持ちました。この講習を通じてレースを楽しく安全に走りきることはもちろん、自転車というスポーツを深いところで楽しむ人が増えてくれるといいですね」とのこと。
講習参加者のひとりは、「ヒルクライムのレースには出たことがありますが、大勢で同時に走るロードレースは初めてです。かなり不安だったのですが、この講習で聞いた話を参考にソワソワせずに落ち着いて落車なく走りきります!」と話してくれました。
今中さんがご自身の経験をベースに話された貴重な内容は、ビギナーはもちろん、レースに何度も出場しているような人にとっても有意義な情報となるはずです。